大人気バーウィック!スペイン、アルマンサのグッドイヤーウェルト工場でコスパの秘訣を探ります

2019年4月、バーウィックの工場に視察に行ってきました。 バーウィックの日本初上陸は2003年頃でしょうか、当時は靴店勤務でしたが、その頃からずっと行ってみたかった工場です。十数年経ってようやくその機会を得ることができました。

バーウィック アルマンサ城

バーウィック工場近くのアルマンサ城

バーウィックを生産するミランクラシック社はバレンシアから車で120キロ走ったアルマンサにあります。周りはオリーブやスピナッチの畑が広がる田園風景。アルマンサ、それに途中のアリカンテという街も靴作りが盛んです。この工場で働く従業員は200人程度、ほとんどが地元アルマンサに住んでいるそうです。

靴の街アルマンサ最大級の工場バーウィック グッドイヤーの工程に迫る

バーウィック 工場

ミランクラシック社はアルマンサの近代的な工業地帯に位置し、靴工場としては域内最大級の規模を誇ります。このきれいな建物のエントランスを入るとオフィス、ショールームがあり、その奥にグッドイヤーウェルト製法の生産ラインを擁する巨大な工場が併設されています。

バーウィック グッドイヤーウェルト工場

グッドイヤーウェルトの靴を生産するラインの工場に入ります。広大な面積の建物は2階の高さまで天井が吹き抜けており、広々とした空間にラインが設定されています。

バーウィック デザインルーム

2階からは全体が眺められます。中心部の司令塔のような部屋はデザインルームで、2名がデザインを担当してるそうです。バーウィックの新デザインの開発の他、素材/デザイン/ラスト/製法の組み合わせの可否を判断します。

バーウィック ラスト(木型)

木型を保管する棚。バーウィックは木型の種類、また1日当たりの生産数が多いため、木型の在庫も大量です。この写真に写っているのは全体のほんの一部にすぎません。

バーウィック レザー

アッパー他、各部材の革が豊富に揃っています。アッパーにはヨーロッパ屈指のタンナー、仏デュプイ/アノネイの最高級カーフや、チャーチのポリッシュトバインダーカーフで知られるスペインPICUSAのROISカーフなど贅沢なラインナップです。
スエードは英C.F.ステッドのスーパーバックをはじめとする各素材、伊OPERAの肌理の細かいスエードなどを用意しています。

バーウィック アッパー縫製場

別部屋はアッパーの縫製工場です。ここで働くのは女性ばかり。ちょうどランチタイムで、ラインから一斉に離れていく現場に会いました。ランチでいなくなった作業場は整然としています。この作業机の数から、世界中に靴を届け出す生産力を伺うことができます。

バーウィック ランチタイム

ちなみに工場は7時からオープンしており、ランチタイムの14時まで作業が行われます。2時間のランチ休憩を取り16時から19時まで後半の作業しているそうです。日本に比べ日の出、日の入りが遅く、夜は8時過ぎまで明るかったのが印象的でした。

工場は夏の休暇、クリスマスホリデーのほか、アルマンサの戦いを記念した1週間ほどの休みがあるとのこと。 ブランドネーム『バーウィック1707』の由来に深くリンクするアルマンサの戦い、バーウィック公爵の存在は地元の人にとってとても大きなものだということが解ります。

バーウィックが誇る最新設備。大規模靴工場に必須の自動裁断機

バーウィック 裁断機

クリッキング(裁断)はレーザーでパーツを配置し、自動で裁断するマシンで行います。バーウィックは品番がとても多いので、膨大な種類のパーツを切り分ける必要があります。従来の金属の抜き型を使用する裁断機ではパーツの種類の分だけ抜き型を保有しなくてはならず、現実的ではありません。この裁断機は必須と言えます。

バーウィック 革チェック

アッパーのクリッキングの前には革を入念にチェックします。傷や原皮の状態の悪い部分はペンで細かくマークして、除外します。
工場を訪れるまではバーウィックの価格帯から推察して、このあたりの作業は手を抜いてるかな?と想像していましたが、そんな心配は杞憂に終わりました。

バーウィック パターンセッティング

傷などをマークした革にレーザーでパーツの位置を決めていきます。コンピューターのマウスでパーツを回転、移動させます。操作する画面上のパーツに対応する形がレーザーで革に照射されて確認でき、先ほどチェックした傷などを避けて配置することができます。

バーウィック レーザー

レーザーのパーツの位置は記録されており、そのラインに沿って自動で革を裁断します。ものすごいスピードです。

バーウィック 抜型

アッパー以外のライニングなど、型が共通するパーツは従来の抜き型を使って切り出していました。

やはり手が抜けないグッドイヤーウェルトの製造工程 、バーウィックのコスパの秘訣は?

バーウィック トウラスター

アッパーの木型への吊り込みはトウラスター、ヒールラスターの機械で吊り込みます。このあと、職人が踏まず部分をワニで引き、くびれを作ります。このひと手間は日本のリーガル、スコッチグレインでも行われており、高い品質を保つために必要な作業です。

バーウィック 吊り込み

さらにヒーターの熱で革にクセ付けを行います。やはり踏まず部分を念入りに、ハンマーで叩いて木型に馴染ませます。

バーウィック ウェルトすくい縫い

機械式グッドイヤーウェルト製法の要である、ウェルトをすくい縫いするミシン。この工程を機械化できたことがハンドソーンウェルトから大幅に手間を削減し、グッドイヤーウェルト製法として技術が進化したとされる箇所。
いま人気のハンドソーンウェルトの場合は、手によるすくい縫いがむしろ職人さんの見せ場でもあります。

バーウィック 練りコルク

グッドイヤーウェルトを特徴付ける中物の練りコルクは多め

バーウィック だし縫い

出し縫いでアッパー+ウェルトにソールを縫い付けます。縫うと同時にアウトソールの溝を切る仕様です。驚異的な速さで足数をこなしています。
吊り込み以降の工程数は他の工場と比べても変わらない印象がありますが、傑出するバーウィックのコスパは大量生産による稼働率の良さにポイントがありそうです。

バーウィック コバ磨き

コバ、ヒール周りの仕上げ。コバ、ソールの仕上げ作業は多岐にわたる

バーウィック 本底仕上げ

オーダーによっては、アウトソールを染める作業も

アウトソールを縫い付けてからの工程も、オーダーの仕様によってソールを染める商品、そのまま仕上げする商品と仕様毎に必要な作業が行われます。各作業に細かく人を配置しているので、人数はとても多くなります。

バーウィック アッパー仕上げ

ソールの仕上げのすぐ後ろに、アッパーの磨き、仕上げのライン

バーウィック 検品、箱詰め

最後にアッパーの仕上げ、アンコ詰め、検品〜箱詰めと流れるように作業が行われます。

バーウィックの工場ではグッドイヤーウェルト製法の生産工程は決して省かれることなく、また、特別な方法を採っているわけでもありませんでした。

バーウィックの靴が非常に高いコストパフォーマンスをたたき出しているのは、多岐にわたる製造工程に人材を無駄なく配置している効率の良さ、大量生産によるライン全体の稼働率の良さによるものでしょう。

そして、それは販売足数がとても多いということに支えられているはずです。品質の高い靴がお手頃に手に入る→たくさん売れる→コストを抑えて作ることができる・・・という好循環が、現在のバーウィックの強さの源泉にあると捉えました。

バーウィック/パコミランのショールームで聞いてきた話などは、また別記事でまとめたいと思います!

バーウィック 商品一覧 - レザーラウンドアバウト

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